老夫婦の断捨離について、私の考え

本日、夫と共に私の実家に行って来ました。

現地で義理の姉も合流して母が施設から戻ったら暮らしやすいように、改善する為です。

防草シートで空き地を覆う

先日の肉体労働でよくわからないシートを義姉とシートを張った続きです。

本当は家の中の事をしに来たのですが、

父はとにかく草刈りから解放されたい様子で、

その思いを組んでまずはそちらを先に終わらせることにしました。

まず除草剤を撒いてそれから防草シートで覆う流れです。

本日は市販の防草シートです。

格段に張りやすく、なんと簡単なものだと実感しました。

しかし、一つ残念なことは、父はこのシートにもグレードがある事を知りませんでした。

一緒に買いに行こうと伝えていたのですが・・

(10年保証の物があるのを私は知っておりました。4年保証の物でした)

もう仕方ないです、レシートもなくなったと仰います。

自分がやると決めたらやってしまうのです。

そういう時は愚痴っても無駄なのだから黙って作業するべし。

前回の突然の肉体労働が始まった時、義理の姉の黙々とやる姿に学んだことです。

大丈夫。やれるだけやってしまおう。

義姉は仕事を抜け出して遅れて到着して、家の中の点検に行ってくれました。

押入れを整理しようという事でした。

あちこちにある段ボールの中身を入れるスペースを作る為だという事です。

老夫婦の物に対してのもったいないという想い

義姉の言う通りなのですが、問題は老夫婦の荷物に対する執着です。

私は今回は押入れは無理だと思っています。

父と母は戦中を経験して物が無い戦後も経験しているからです。

もう、働く力の無い自分たちは「貯える時期」は終わっています。

つまり、減って行くばかりの時代が来ているという強い恐怖心があります。

特にこの80代前後の人たちには、

両親だけではなく、多くの方があてはまるのではないかと思います。

それは、50代の私とは全く違う時代背景がある事に注目しなくてはいけません。

物が無い時代を生きた人と、そうでない人の差を理解する

私達目線だけではどうしても話が合うわけがないことがあります。

戦中、防空壕に隠れた世代。

戦後、物が無かった世代。

これは昔話ではなく経験を深く刻んでしまっている魂なのです

私は高度成長期ですくすく育ち、バブルも見てきた世代です。

分かるわけがありません。

だから、私は最近、

諦めてあげることが大切なのかもしれないと思い始めています。

父に貯えがないはずはありません。

なぜならば、ちゃんと大手電機メーカーを定年退職して退職金も出ているし、

遺産も相続しています。

それより何より日ごろ、質素極まりない生活を送っています。

使っていないのですからなくなりもしないのです。

入ってくる年金の中で生きて来られているので、

貯えに手を付けて資産を溶かして減ってなどいないのです。

しかし、そういう現実とは別の世界で生きているのだと思います。

「減り続ける事への恐怖」と戦っているのです。

仕事を退いた男性としての本能があるというか・・

自分の人的資本がない事への不安。

減り続けたら増やせない自分。

残りの人生、妻と共に困ってしまうのではないか?

私達がどんなに「そんなに沢山布団もう要らないよ。」

と言った所で「誰かが来たら困るだろう?」と思うのです。

来たらホテルが近くにある。という事が頭に入らないのです。

「困るだろう・・・。」→困らせる自分であってはならない。

困らないよ。という言葉はただの雑音にしかならないのです。

最後は「俺たちが死んでから好きなように捨てればいい」で終わるのです。

安心のお守りのようです。

この家の整理については子供の私達が投げかけてもだめです。

母に絡めてケアマネジャーさんに必要だったら伝えてもらうしかありません。

「母の為」「専門家」がキーワードだと思っています。

物を減らすことは、父から言わせれば「母の為にならないのです」

最近は戦争の記憶の他に更に上書きされた可能性があります。

地震、洪水など災害で家を失ったり、家の中の家財を家から出して処分している映像です。

「持っていなければならない」事を強化している可能性は否定できません。

という事で、私はこうして書きながら

接する時、「戦中戦後を体験した人である」という基本は忘れるべきではなく、

むしろ「両親のすべてを築く土台の部分」を認識しなおして、

諦める部分は必要だと感じました。

部屋は整えるだけにして、大きな変化は負担と捉えてあげる。

ケアマネジャーの力を借りて、危なくない程度の部屋の物の整理をする。

それだけでいいのかもしれません。

流行りの断捨離は80代には厳し過ぎるのです。

60代になると老いを感じ始め、

整理できずに老後を迎えてしまう、という危機感から始める風潮がある断捨離。

私達夫婦は了解できます。

スッキリは楽ちんでもあるのも知っています。

戦後の人間だからです。

物にあふれることに飽きたとも言える世代です。

身軽は心まで軽くするし、お金もあまり必要ない事に気が付きますよ、

という感覚もよくわかります。

しかし、分からない世代がいてもおかしくないと認識するべきかもしれません。

「物が無い時代を経験した歴史」があるため極端な断捨離は、

不安定にさせるという見方が必要だと個人的に付け加えたいと思います。

80才の人に強いてはいけない場合もあるということです。

それも全て個人差です。

戦争で父親を亡くした人は母親だけで、

物が無い時代を苦労して乗り切ったに違いない、

などの想像力が必要だと私は思いました。

それぞれにあった老後の住み方をこれからも探していけたらと思います。

それは私達夫婦の勉強にもなります。

ありがとうございました。